平成25年9月24日 彼岸法要

平成25年9月24日  彼岸法要法話(副住職)

皆さまこんにちは。
今年は9月20日から26日までがお彼岸になっています。この彼岸と言う言葉は、梵語のパーラミター(波羅蜜多)の漢訳で「到彼岸」迷いの世界から悟りの世界に到る、と言う意味です。私たちは寿命が尽きた後、仏様がいらっしゃる悟りの世界、彼岸に行くために、今生きている迷いの世界で仏様の教えを学び、実践(行動)しなければなりません。
その悟りへの道として、六波羅蜜と言う六つの教え、布施・持戒・忍辱・精進・禅定・知恵があります。では、今から六波羅蜜についてお話をしていきたいと思います。
1. 布施
・僧侶にお経を唱えていただいたお礼に金銭を包む。→財施
・僧侶が読経のあと説法を行う。→法施
・優しい言葉を掛け親切にする。→心施
心施で心しておかなければならない事があります。自分が相手に行う行為に対し、相手からの感謝の気持ちや言葉を期待したり、求めてはいけません。見返りのない行為が大切で、相手の為にしてあげたのではなく、させて頂いたと考え、その事に喜び、感謝を持つ心を忘れてはいけません。
2. 持戒
 戒めを守る事です。この世の中は規律を守る事が原則ですが、飲酒運転など未だになくならない、自分自身に戒めを持って律する事がとても大事です。正しい規律を守り正しい生活の中に知恵が生まれます。人の道を守るのが持戒です。
3. 忍辱
 耐える事です。どんな苦難・困難が降りかかろうとも、目の前の状況を受け入れ耐えることが必要です。お釈迦様は、黙せる者も非難され、多くを語る者も非難され、少し語る者も非難され、非難されない者はいない、とおっしゃっています。ただ非難されるだけの人間も、褒められるだけの人間もおりません。また、何か起きた時、誰かが助けてくれるわけでもなく、自分自身で乗り越えていかなければなりません。覚悟を決め、悠然と構え、前に進むために耐える事が必要なのです。
4. 精進
 努力する事。お釈迦様の最後の言葉も弟子に向けて、「怠らず最後まで修業に務めなさい。」で、ありました。怠らずに務めるとはとても難しい事です。我々はつい今日は止めて明日からしようと思ってしまうものです。ですが、「継続は力なり」と言います。日々の小さな努力を続ける事が大きな成果に繋がります。そういう努力を習慣化する事が大切な事だと思います。
5. 禅定
 心を落ち着ける事。心を落ち着かせるには呼吸を整える事が不可欠です。座禅を組んだり、瞑想を行う時には、まず呼吸を整えます。まず、口から体全部の空気を細くゆっくりと吐き切ります。頭からつま先までの空気を吐き切る事をイメージしながら吐き、今度は、頭からつま先まで新しい空気を入れ替えるイメージをしながら鼻から吸います。体の調子も整ってきます。

6. 知恵
 真理にもとづく考え方や生き方をする事である。仏様の知恵を学び、正しい言葉を使い、正しい行いをする事により、その知恵を身に付ける事ができます。しかし、たやすいことではありませんが、そうできるようにコツコツと努力を続けていく事が大切なのです。

お彼岸に法要を行うのは、諸説ありますが、昼夜等分の日である事から仏教の中道の教えにちなんで行われるようになりました。
お彼岸は、こうした仏教の教えを実践にうつすよう再認識する仏教週間であり、改めて先祖を供養し、今生かされている事に感謝を忘れず精進しなければなりません。
 私達人間は悩んだり苦しんだり、欲望にかられたり、人を妬んだり、いわゆる煩悩にとらわれ正しい事が見えなくなります。人生とは、辛い事、苦しい事をたくさん乗り越えなければなりません。お釈迦様も私たちと同じように悩み苦しんだからこそ、出家され、長い修行の後に、心に平穏が訪れる悟りの境地にたどり着かれたのです。今お話したことがいかにして生きるかという、正しい生き方を考えるきっかけになり、これからの生き方のヒントになれば幸いに思います。
 今年は100歳以上の方が5万人もいらっしゃるようですが、健康に長生きしたいものです。どうぞ、仏様の教えを実践しながら生を全うして頂く事を願っております。
 これから秋も深まり、食欲の秋になりますが、食べ過ぎには十分気を付けてお寺参りをして頂きたいと思います。

 彼岸法要が終わり、檀家の皆さまお疲れ様でした。手狭な昼食会場で申し訳ありません。粗食ではありますが、皆様、和やかにお食事いただきありがとうございました。